今年(2007年)は3月の後半から体調を崩して、ちょっと辛い早春でした。 そのおかげで、ゆっくりマタイとヨハネの受難曲を聴くことができました。
受難曲といえば、まずマタイであります。 J.S.バッハは生涯に5曲の受難曲を書いたと言われますが、 現存しておりますのはマタイとヨハネの2つの受難曲です。 おそらくルカとマルコがあり、いずれかの習作が一曲あったのでしょうか?
マタイの受難曲といえばカール.リヒターのアルヒーフ版というのが定番でありまして、 僕も子供のころから(と、いっても17-18歳でしょうか)リヒターでマタイを聴いているわけです。
最近はCDですから誠に便利になりましたが、 LPのころは所謂箱ものでして、マタイは4枚組だったと記憶しますが、 総演奏時間3時間になんなんとするこの曲を聴くには、 オートチェンジャーなどない我が家の装置では、それこそ数回の掛け替えが必要で、 なかなかマタイを通しで聴くには忍耐が要ったのであります。
僕らの前の世代の方々は、 例の聴衆の啜り泣きもレコーディングされていたといわれる メンゲルベルク=アムステルダム・コンセルボー版が秀逸とされていたようで、 SP版では何枚組みだったのでしょうか?気が遠くなります。 僕はメンゲルベルク版は聴いたことがありません。
実はCDに切り替えたとき、僕はリヒターではなくて、 カラヤン=ベルリンフィルの1973年版を買いました。 理由としてはエヴァンジャリストがペーター・シュライヤー イエスがディスカウ、マリアがヤノヴィッツということで、 これは聴いてみたいですよね。
1973年版のカラヤンは悪くはないんです。 実に安定しております。 しかし、だんだんにアルヒーフ版に帰っていくんですね。 何がいいって、原点的だからというのは、説明になりませんが・・・。
最近僕が好んで聴いているのはレオンハルト指揮のラ・プティット・バンド版です。 ソロ/コラールともに男声のみで編成され、 古楽器で演奏されているラ・プティット・バンド版には 説明しがたい清潔感と透徹感がありまして、 バッハ自身がタクトを持った往時は、かくやありなん、と思うところがあります。
女声が入っていないことを理由に清潔感とか透徹感とかいうのは問題かも知れませんが、 ソプラノとボーイ・ソプラノではやはり全然雰囲気は違います。 違いの説明は不能ですが、聴いていただくのが一番でしょうか・・・・
この長大な作品を、3つのCD版で聴き比べることができた今春の腰痛に感謝しつつ、 もう、痛い思いはこりごりというのが本音でもあります。